六カ月のあいだ学校に行けないで悩んでいる不登校の中学三年生の川島大介
(金井勇太)は、両親に内緒で初めてのひとり旅に出る。
横浜郊外のインターチェンジからヒッチハイクで九州の屋久島にある、
樹齢七千年を越えると言われる縄文杉を目指して出発した。
しかし、旅のはじまりは散々だった。雨の中を歩いている大介を、かわいそうに
思って車に乗せた引越センター運転手の児玉(笹野高史)が、「最近の
中学生は……」「親も子供に甘すぎる。もっとぶん殴ってもいうことを
聞かせるべきだ」など、一方的な説教に、猛然と反撥し、みずから雨の
サービスエリアで車を降りてしまう。
サービスエリアで途方に暮れていた大介は、大型トラックの運転手・佐々木康
(赤井英和)と出会う。佐々木は同乗者の宮本(梅垣義明)とともに大阪へ
向かう途中だった。はじめは緊張していた大介であったが、彼らの気さくな
やりとりを見て自然と打ち解けていく。そして彼らとのふれあいの中で、
“世の中の厳しさ”や“命の大切さ”を痛感させられた。
大阪に着いた大介は、九州まで行く女性ドライバー・大庭すみれ(麻実れい)の
長距離トラックに乗り換える。すみれは大介に「なぜ学校に行かないのか?」と
しきりに尋ねた。彼女は女手ひとつで一男一女を養っている母親でもあった。
そんな彼女との会話を通して、大介は“家族の絆”について考えさせられた。
一方、旅に出た大介のことが心配でならない母・彩子(秋野暢子)、父・秀雄
(小林稔侍)は、中学校の担任、黒井先生(中村梅雀)に相談したりと奔走していた。
宮崎に到着し仕事を終えたすみれは大介を自宅に迎え入れた。
息子の登(大沢龍太郎)は無口な少年で、彼の部屋はジグソーパズルと
時代小説が一杯に埋め尽くされており、異様な雰囲気を漂わせていた。
しかし何故だか二人でいると気持ちが落ち着き、大介は夜遅くまで登に
色々なことを語りかけた。
あくる日、別れ際に大介は登からジグソーパズルを貰う。その裏面には自作の「詩」が小さな文字で書かれていた。
鹿児島港まで送ってもらう車中、大介はすみれに昨夜の登とのことを話した。
頷きながら話を聞いているすみれだったが、大介が登の「詩」を朗読し始めると、
突然車を停め、ハンカチで顔を覆った。「あの子、そげなこと考えとったの。
おばさん、ちっとも気づかんかった。」ありがとう…とすみれは大介の肩を
きつく抱きしめた。
屋久島へたどり着いた大介は、島で出会った登山客・金井真知子(高田聖子)と
ともに縄文杉までの登山に挑む。険しく厳しい山道を真知子に励まされながら
一歩一歩進む大介。ついに目前に勇姿をみせた縄文杉。その荘厳な縄文杉は
大介の心に何かを語りかけてくれた。
真知子と別れ、一人山を降りる大介は悪天候で道に迷い遭難しそうになる。泥んこになりながらも何とか山から下りた大介は、ひとり暮らしの老人・畑鉄男(丹波哲郎)に声をかけられ、鉄男の家に泊まることになる。
翌朝、世話になった鉄男に礼を言い、家を出ようとした大介だが、鉄男の
具合が突然悪くなり、ほうっておけずに看病にあたるはめになる……。
博多で暮らす鉄男の息子が駆けつけて、病気の父親に接する態度に、
人間の尊厳を涙ながらに訴える大介。六カ月ぶりに学級の仲間や先生に
迎えられるシーンで終わる。
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